アオウミガメがご近所さん
こんにちは!みぃです( *´▽`)ノ
「父島」という亜熱帯の島に住んで20年以上経ちます。
「父島」は、東京都・小笠原諸島の有人島です。
自然豊かな島で、2011年6月に「世界自然遺産」に登録されました。
魅力はたくさんあるのですが、今回は私にとって身近な存在の「アオウミガメ」をご紹介させていただきます。
父島ってどこにあるの?どうやって行くの?
父島が属する小笠原諸島は、東京から約1000キロ南に位置します。
緯度は27度04分なので沖縄本島の最北端よりもちょっと北。「亜熱帯」という気候に属します。
交通手段は「おがさわら丸」という定期船だけで、飛行場がないので飛行機は飛んでいません。
「おがさわら丸」は東京都港区の「竹芝桟橋」というところを出発し、24時間かけて小笠原諸島・父島の「二見港」に到着します。
はい。
もう一度言います。
東京から24時間かかります(笑)
「おがさわら丸」の運航スケジュールは、次の通りです。
1日目 東京竹芝桟橋を11:00に出港
2日目 父島二見港へ11:00に到着
3、4日目 父島二見港に停泊
5日目 父島二見港を15:00に出発
6日目 東京竹芝桟橋へ15:00に到着
東京に到着した翌日、または翌々日に再び出港して、上記のスケジュールをくり返します。
なので、島に船が来るのは月に5回。
生鮮食料品も郵便物も月に5回しか来ません。
初めて聞く人にはびっくりされることが多いです。
でも、これだけ隔離されている場所だからこそ豊かな自然が保たれているんですよね。
小笠原の海で出会える野生動物たち
小笠原の海ツアーでは野生のイルカやクジラに出会えることが観光のメインのひとつになっています。
スキューバダイビングでは「シロワニ」というサメに出会える世界でも珍しい場所でもあります。
これらの海洋動物には船に乗って沖に出かけないとなかなか出会うことができませんが、アオウミガメにはビーチでも出会えるチャンスがあるのです。
なぜなら、アオウミガメは産卵のときに砂浜へ上陸してくるから。
アオウミガメの産卵シーズン
アオウミガメが産卵するのは陸上です。
海から上がってきて砂浜に穴を掘り、その穴に卵を産み落として卵の上に砂をかけて海へと帰っていきます。
産卵期は5月下旬から7月いっぱいくらい。
この頃のビーチは
・産卵のために上陸してきたカメの足跡
・産卵が行われたであろう砂山
・産卵しようとして掘ってみたけど、やっぱりやめた大きな穴
がたくさん見られます。
タートルトラックがいっぱい
アオウミガメの産卵巣がいっぱい
アオウミガメの保護活動
島にある「海洋センター」通称「カメセンター」のスタッフは、この時期、毎日各ビーチを巡って産卵巣(さんらんそう)をチェックしています。
砂山を見つけると砂山に手を突っ込んで卵の有無を確認し、卵のある砂山の上にはその辺に落ちている木の枝を3本束ねて砂山の上に刺しておきます。
これが「ここにはカメの卵がありますよ。上を歩かないでくださいね。」というサインなのです。
また、街中のビーチでは、産卵を終えたおかあさんカメが海に帰ろうとして、間違えて街の方に歩いてきてしまうことも。
産卵は夜間に行われます。
昼間の陸上は産みたての卵を狙う敵陣(鳥やネズミなど)が多いので、おかあさんは暗くなってから上陸してくるのです。
200キロもある身体をひきずって砂浜を歩き、深さ60センチほどの穴を掘って、100個前後の卵を産み、産み終えた卵に砂をかけて海へ戻るまで数時間。
彼女たちが海へ帰るのは深夜から早朝にかけてです。
自然界の夜って、山よりも海の方が明るいんですね。
月が大きいときは月が、そうでないときは星が、海に反射しているからです。
だからおかあさんカメは明るい方向へと歩いていきます。
でも、街中のビーチは大きな公園や繁華街に面しているので街灯がたくさんあります。
海よりも明るいのです。
だから、間違えて海と反対の方向に向かってしまうカメもいます。
そのトラブルを少なくするために行政機関も協力。カメの産卵時期はビーチに面している公園の灯りを少し落とすという工夫をしています。
それでもやはり、公園の外側に並ぶ街灯は明るい。
ですからカメセンターは「迷走カメ発見時の緊急連絡電話」を設けています。
夜間、街中で迷走するカメを見かけたら、そこに電話をすればスタッフが駆けつけて、カメを砂浜へと誘導してくれるのです。
この数ヶ月間、カメセンターのスタッフは、日中に産卵巣(さんらんそう)のチェック、夜間は迷走カメの対応やらと大忙し。
合言葉は「おつかめさまです」
アオウミガメと交流!?
私が住んでいるのは街中から6キロほど離れたビーチの裏山です。
家からビーチまでは、車で2分。
ゴールデンウィークの頃から10月くらいまでは、ほとんど毎朝泳いでいます。
海に入っていないとイライラしたり憂うつになったりする体質なのです(笑)
活動を始めると雑多な用事がいろいろ出てくるので、朝イチで海に入っておけば心おだやかに一日を過ごすことができるんですね。
カメの産卵時期は、いつ上陸しようかな~って波打ち際近くをウロウロしている子や、産卵を終えて水中で寝ているカメさんにお会いすることが多々あります。
5・6月はまだ水温が低いので、ガシガシ泳いでいると並走してきたり真横から追い越してチラ見してくる子もいます(笑)
砂をかぶってぐっすり眠っている子を見ると、産卵で疲れたのかな~って心の奥があったかくなったりします。
夕陽を見ようとビーチに出てきたときに、産まれたばかりの赤ちゃんカメが海に向かう感動的な場面に出会ったこともあります。
そんな豊かなシーンに出会えるこの海が私の心のエネルギーです( *´▽`)ノ